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2022.03.01

心臓弁膜症とはどんな病気?

「最近息切れがひどくなった」
「坂道の途中でいったん休憩しないとしんどくなった」
「階段を上がると胸が痛い」
そんな症状はありませんか?
「新型コロナウイルス感染症の影響で外出の機会が減って、運動不足になったから」
「歳のせいで疲れやすくなったから」
と思っていませんか?

その症状は、心臓弁膜症によるものかもしれません。

心臓の働き

心臓には右心房と右心室、左心房と左心室の4つの部屋があり、収縮と拡張を繰り返すことで、血液を全身に送り出すポンプとして働いています。全身から返ってきた血液は右心房から右心室に入り、右心室から肺動脈を通って肺へ送られます。肺で酸素を取り込んだ血液は左心房に入り、左心房から左心室、左心室から大動脈を通って全身に送られます。
心臓の収縮と拡張は一日に10万回繰り返され、そのたびに心臓の部屋と部屋の間にある弁は開いたり閉じたりして、血液を次の部屋に正しく送り出せるよう、逆流を防ぐ働きをしています。左心房と左心室の間にある弁を僧帽弁、左心室と大動脈の間にある弁を大動脈弁、右心房と右心室の間にある弁を三尖弁、右心室と肺動脈の間にある弁を肺動脈弁といいます。

心臓弁膜症とは

心臓弁膜症とは、心臓の弁に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状態をいい、大きく2つのタイプに分かれます。弁の締まりが緩くなって、血液が逆流してしまう状態を閉鎖不全症、しなやかさが失われて硬くなり、血液が通りにくくなってしまう状態を狭窄症といいます。心臓弁膜症には先天的なものと後天的なものがあり、後天的なものには感染などによる炎症や、加齢や高血圧、脂質異常症による動脈硬化が原因の変性などがあります。

加齢とともに増加する主な心臓弁膜症には、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症などがあります。

大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症は、左心室と大動脈の間にある大動脈弁が硬くなり、狭くなることで、左心室から大動脈(全身)へ血液が送り出しにくくなります。
そのため、左心室は大きな力で血液を駆出しようとして左心室の筋肉(心筋)に負荷がかかるうえに、送り出される血液量が少なくなることで心筋への血流も減少して酸素不足をおこし、胸痛がおこることがあります。また、重症になると失神することがあります。

大動脈弁閉鎖不全症

大動脈弁閉鎖不全症は、左心室と大動脈の間の大動脈弁が変性し、ずれてしまうことで逆流が起こり、左心室から大動脈(全身)へ送り出した血液が左心室に逆戻りしてしまいます。
そのため、全身に十分な血液を送り出すためには、逆流する血液を余分に送り出す必要があり、左心室は大きくなります。
それが長期間続くと心筋に負荷がかかり障害がおこり、不整脈や心不全による息切れの症状が出てきます。ただし、初期には症状が出ないことが多く、重症になって初めて症状が現れることがあります。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症は、左心房と左心室の間にある僧帽弁が変性し、ずれてしまうことで左心室から左心房へと血液の逆流(僧帽弁逆流)が起こり、全身に十分な血液を送り出すためには左心室がさらに多くの血液を送り出す必要があり、左心室が大きくなります。逆流が多くなると左心房にも負荷がかかり、肺からの血液が送り込まれにくくなることで肺に血液が溜まり、呼吸が苦しくなります。
また、左心房に負荷がかかることで、心房細動という不整脈も起こりやすくなり、動悸や胸部不快感などの症状も現れます。

心臓弁膜症が進行すると、弁の働きが悪くなるだけでなく、それを補おうとして心筋が障害されたり、不整脈が起こったりして、心臓が全身に血液を送り出せなくなる「心不全」の状態になってしまいます。そのため、重症になる前に早期に診断し、治療することが大切です。
心臓弁膜症は、心臓超音波検査(心エコー図検査)で診断することができます。
気になる症状がある方はご相談ください。