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2022.04.01

睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気?

交通事故の原因などとして社会的に取り上げられることもあるため、1度は聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や呼吸が浅くなる「低呼吸」が一晩(7時間)あたり30回以上、あるいは1時間当たり5回以上みられる場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

日本の睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数は300~500万人いると推定されています。
しかし、潜在患者の約90%は治療を受けていないとされています。
男性では40~50歳代と働き盛りの年代に多くみられます。
一方、女性ではホルモンの影響により閉経後に増加します。

原因は?

睡眠時無呼吸は、睡眠中に空気の通り道である気道が塞がってしまうことによって起こります。首の周りの脂肪が多いと上気道が狭くなりやすいため肥満は1つの原因です。しかし、肥満だけではなく首が短い、扁桃腺が大きい、上気道への舌の落ち込み、下あごが小さいことなども睡眠時無呼吸の原因になります。

症状

睡眠時無呼吸症候群は眠りだすと呼吸が止まってしまいます。呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため目が覚めて再び呼吸をし始めますが、眠り出すとまた呼吸が止まってしまいます。これを一晩繰り返すために深い睡眠が全くとれなくなります。 睡眠時無呼吸症候群による症状として、夜中に何度も目が覚める、大きないびきをよくかく、寝ている間に息が止まる、朝起きた時の頭痛やだるさ、日中いつも眠たい、運転中や大事な仕事中に居眠りをしてしまいそうになるなどがあります。
しかし、睡眠時無呼吸が体に及ぼす影響はほかにもあります。
睡眠時に無呼吸となるので、体は毎晩低酸素状態になっています。この状態が毎日、そして何年も繰り返されることにより、体は様々な影響を受けてしまいます。酸素濃度を補おうと心臓の動きが強まり高血圧となります。

睡眠時無呼吸症候群の人は、朝の血圧が高い、血圧を下げる薬が効きにくいと言われています。 また、睡眠不足によるストレスにより血糖値やコレステロール値も高くなり、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。このように、睡眠時無呼吸症候群の人は、健康な人と比較すると高血圧症は約2倍、脳血管障害は約4倍、心疾患は約3倍、糖尿病は約1.5倍と生活習慣病の発病リスクが高くなります。

治療

睡眠時無呼吸症候群の確立された治療方法として、CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)、マウスピース療法、外科的手術などがあります。
CPAP療法は、睡眠時に鼻や口を覆うようなマスクを着け、マスクから送り込んだ空気の圧で気道が塞がらないように空気の通り道を確保する治療法です。
この治療を適切に行うことで、睡眠中の無呼吸やいびきが減少し熟睡感が得られるようになるため、昼間の眠気や疲労感などの症状が改善します。また、生活習慣を改善することで睡眠時無呼吸症候群の症状や合併症のリスクを減らすことができます。食生活の改善、適切な運動、規則正しい睡眠をとることが大切です。アルコールは睡眠の質を下げるので飲みすぎには注意しましょう。

当院では睡眠時無呼吸症候群の検査を行っています。 機械を持ち帰っていただき、2日間装着して寝るという自宅でできる簡単な検査です。
また、睡眠時無呼吸症候群と診断された後のCPAP治療の管理も行っています。
気になる症状のあるかたはぜひご相談ください。