呼吸困難

「呼吸困難」という症状をあなたはどのように表現する?

息が切れることを、「息上がり(息が上がる)」という言い方をすることがあります。その他にも、「息苦しい」「呼吸が苦しい」「呼吸が辛い」といったように、さまざまな表し方があります。いずれの場合も呼吸をするための努力が必要であり、これらをまとめて「呼吸困難」と呼びます。呼吸困難は急性と慢性の二種類があります。特に急性の呼吸困難の場合は、迅速かつ正確な治療が必要になります。呼吸困難が生じ受診するときは、この違い(急性か慢性か)が診断の大切なポイントになりますので、医師に伝えるようにしましょう。

 

呼吸困難の原因・疾患

普段の生活から考えられる呼吸困難の原因

①体内が酸欠状態

身体を動かすとき、エネルギーだけでなく酸素も必要になります。激しい運動によって大量のエネルギー・酸素が必要になると、呼吸による補給が追い付かなくなり、息上がりが生じます。

②肥満による心臓への大きな負担

肥満傾向にある方は、身体を正常に機能させるために、普段からより多くの酸素を必要とします。加えて肥満でない方と比べて、酸素を全身に運ぶ心臓への負担も大きくなり、息上がりが生じます。

③過労やストレスによる脈拍や血圧の乱れ

自律神経は血圧や呼吸数など体内の特定のプロセスを調節している神経系です。この自律神経が過労・ストレスなどによって障害されると、脈拍・血圧が乱れ、息上がりが生じます。

呼吸困難を伴う疾患

心不全

狭心症・心筋梗塞、不整脈、心臓弁膜症、心筋症といった疾患によって心不全が生じると心臓のポンプ機能が低下します。これにより血液の循環が滞り、血液によって運ばれる酸素が減り、各臓器への酸素供給不足が生じます。
息上がり、動悸、むくみのほか、食欲不振、吐き気・嘔吐などの症状を伴うこともあります。

腎不全

腎臓の機能低下によって、血液から老廃物などをろ過できなくなっている状態です。尿の量が少なくなることで、体内の水分量が増加し、胸水、腹水、むくみなどの原因となり、さらには心臓へと負担をかけます。

貧血

血液中の「ヘモグロビン」は、肺から取り込まれた酸素を全身に運ぶ役目を担っていますが、貧血になるとそのヘモグロビンが減少します。酸素を運ぶ物質が少なくなるので、酸素不足となり息苦しくなります。
血液産生の材料となる鉄分が不足している、出血(月経)などが貧血の原因としてよくあげられます。
倦怠感、めまいといった症状がよく知られていますが、ときに息上がりを伴います。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

主に喫煙を原因として起こる呼吸器疾患です。日常的な喫煙、または副流煙を吸い込むことによって、肺の細胞が弾力を失っていきます(肺気腫)。
少しずつ進行するため自覚しにくい病気です。息上がり、咳、痰などの症状を伴い、呼吸不全に至るケースも見られます。

気管支喘息

アレルギーを原因として気管に炎症を起こし、気道が狭くなることで呼吸困難を起こす病気です。
ヒューヒュー、ゼイゼイといった独特の呼吸(喘鳴)が最たる症状です。そのほか、胸部圧迫感、咳などの症状を伴います。

 

検査

検査は胸部X線撮影や心電図、心エコー、血液検査、尿検査などを受けていただきます。
受けていただく検査は疑いのある疾患の有無や、患者様の容態によってひとりひとり異なります。